腱鞘炎の仕組みと予防とケアについて

春にむけて衣替えをしたり、仕事でパソコンを使う、小さいお子さんを抱っこしながら家事をしたりして手首や指に痛みが出た経験はありませんか?実は、放っておくと日常生活に大きな影響を及ぼす可能性がある腱鞘炎という疾患かもしれません。厚生労働省が以前に発表した統計によると約10%の方が腱鞘炎の経験があるというデータがあり、身近にある疾患です。今回は腱鞘炎の症状や原因、重症度チェックの方法、そしてセルフケアの方法までご紹介します。もしかしたら腱鞘炎かも・・・と不安を感じている方は、最後まで読んでみてください。

目次

「最近、手首が痛いな、手の親指側が痛いなあ」「指を動かすとズキズキする」と感じていませんか?

もしかしたその痛み「腱鞘炎(けんしょうえん)」のサインかもしれません。

腱鞘炎は、手首や指の腱と、その腱を包む腱鞘がこすれ合って炎症を起こす病気です。日常生活で頻繁に使う手や指だからこそ、負担がかかりやすく、悩まされる人も多いです。

放っておくと悪化してしまい、日常生活に大きな影響を与えることもあります。今回は、腱鞘炎の症状や原因、そして重症度チェックの方法について、わかりやすく解説していきます。

腱鞘炎の代表的な3つの症状

腱鞘炎になると、手首や指に様々な症状が現れます。代表的な症状を3つ、具体的に見ていきましょう。

①手首や指の痛み

特に、親指側の手首を動かしたときに強い痛みを感じることが多いです。これは、親指を動かす腱が通る腱鞘が、他の指の腱鞘と比べて狭いため、炎症を起こしやすいからです。朝起きたときや、冷えたときに痛みが強くなることがあります。これは、朝起きたばかりの時は、腱や腱鞘が硬くなっていることや、冷えによって血行が悪くなっていることが原因として考えられます。

重症になると、安静時にもジンジンと痛むことがあります。

私の患者さんの中にも、最初は「朝だけちょっと痛いかな?」くらいだったのが、放置した結果、一日中痛みが続くようになってしまった、という方がいました。

②腫れ

腱鞘炎を起こしている部分に、腫れが見られることがあります。これは、炎症によって患部に血液が集まり、血管内の水分が周囲に漏れ出すことで起こります。

炎症が強い場合は、赤くなることもあります。

腫れや熱感が強い場合は、安静を心がけ、早めに医療機関を受診しましょう。

③動かしにくい、引っかかる

指を曲げ伸ばしするとき、スムーズに動かせなかったり、引っかかるような感覚があったりします。これは、炎症によって腱と腱鞘の間の動きが悪くなっているために起こります。

ひどい場合は、指がばねのように勢いよく動く「ばね指」が起こることがあります。ばね指は、腱鞘炎が進行した状態であり、腱が腱鞘の中をスムーズに通れなくなり、指の動きが制限されてしまう状態です。

例えば、朝起きたときに指が曲がったまま伸びにくくなることがあります。このような症状が現れたら無理して動かさず病院や接骨院に通院することをおススメします。

腱鞘炎は、一体なぜ起こるのでしょうか?主な原因と、日常生活で気を付けるべきことをまとめました。

原因
日常生活で気を付ける事
  1. 長時間のパソコン作業
  2. スマートフォンの使い過ぎ
  3. 家事や育児での手首の使い過ぎ
  4. スポーツ  
  5. 女性ホルモンの影響(妊娠中など) 
  1. こまめな休憩、ストレッチ
  2. 長時間の使用を控える、操作方法を見直す
  3. 重い荷物の時は両手を使う、サポーターを使用を考える
  4. ゴルフやテニスなど手首を使うスポーツをする際、準備体操を行い、無理のない範囲で楽しむ
  5. ホルモンバランスの変化によって起きやすくなることがあります。無理せず休みを取ることが大切です

これらの要因だけではないですが、腱と腱鞘が繰り返し摩擦されることで起こります。

例えば、デスクワークの方であれば、キーボードやマウス操作によって手首に負担がかかり続け、腱鞘炎を引き起こす可能性があります。また、妊娠中や更年期の女性は、ホルモンバランスの変化によって腱鞘が炎症を起こしやすくなると言われています。

腱鞘炎は、症状が軽い場合は、安静にしたり、手首を保護したりすることで改善することがあります。しかし、中には注意が必要なケースもあります。

手首の痛みが強く、日常生活に支障がある

寝ているときも痛みで目が覚める、仕事や家事ができないなど、日常生活に大きな影響が出ている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

手首の腫れが強い

腫れが引かない、または悪化している場合は、炎症が強くなっている可能性があります。

指が曲がったまま伸びない、伸びたまま曲がらない

指の動きが悪化している場合は、腱鞘炎が進行している可能性があります。

手に痺れや麻痺を感じる

しびれや麻痺がある場合は、神経が圧迫されている可能性があります。

これらの症状がある場合は、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。特に、手のしびれや麻痺がある場合は、神経が圧迫されている可能性もあるため、注意が必要です。

腱鞘炎は、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。重症化すると、手術が必要になるケースもあります。

「たかが腱鞘炎」と安易に考えず、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

予防と対策

①手首や親指を休める時間を作る

抱っこや家事で親指を使いすぎている場合、短時間でも休憩を取りましょう。親指をできるだけ使わないように意識し、手首を伸ばした状態で休ませます。

小さなお子様がいる方でしたら抱っこひもを活用したり、家族や周囲の協力が得られるのであれば上手に活用して身体の休息に努めましょう。

②温める・冷やす

・冷やす(炎症がひどい時)➡氷を包んだタオルや保冷剤をタオルに巻いて冷やしましょう。

・温める(慢性的な痛みの場合)➡温湿布や温めたタオルなどを使って血行の促進を図り、痛みを軽減します。

③軽いストレッチ

痛みが強くない場合は、優しくストレッチを行うことで腱や周辺の筋肉の緊張を和らげます。

例:手首のストレッチ

手のひらを軽く反らせて、もう片方の手で支えながらゆっくり伸ばします。反対も行います

④テーピングやサポーターを使う

親指や手首の動きを制限し、負担を軽減するために、専用のサポーターやテーピングを利用するのも効果的です。ドラッグストアや整形外科で相談して、自分に合ったものを選びましょう。

⑤食事で炎症を抑える

抗炎症作用が期待できる食材を積極的に摂りましょう。

• おすすめの食材
・青魚(サバ、イワシなど)に含まれるオメガ3脂肪酸
・ナッツ類やアボカド
・野菜や果物(ビタミンCやEが豊富なもの)

腱鞘炎は、手首や指の腱と腱鞘がこすれて炎症を起こす病気です。

初期症状は手首や指の痛みや腫れ、動かしにくさなどですが、悪化すると日常生活に支障をきたすこともあります。

日常生活での意識的な対策が欠かせません。ストレッチや使い方の工夫などを取り入れることで、手首や指への負担を減らし、症状の発生を抑えることができます。重症化すると手術が必要になることもあるため、違和感を感じたら早めに接骨院・整骨院や整形外科を受診しましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに

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